PHP 社編 「いま伝えたい感謝の心」に寄稿しました。
ともすれば保守的になりがちな味噌醤油の老舗蔵を一軒一軒口説き、9社共同出資・日蒙合作という形で内モンゴルの地で味噌醤油製造をはじめたのは1996年のことでした。
これをきっかけに年々私とモンゴルとの関わりは深まり、私自身の人生観を大きく変えてしまう結果となりました。
内モンゴルの大地でつくられる食品の魅力は、そのまま大自然が育んだ素材の魅力にほかなりません。
有機農法で栽培した米、丸大豆、麦、水を磨く麦飯石、すべての調味料の基本となる塩………大自然のなかには、味噌作りに一家言持つこだわりの蔵元をも唸らせる素晴らしい素材にあふれていました。
よい素材こそ食の原点との思いを再認識し、内モンゴル天然素材を日本の市場にお届けするという使命感を持って今日を迎えました。
まずは塩の自由化にともない蒙古の塩を輸入、いまでは天外天塩というブランド名で大相撲の懸賞旗をだせるほどに成長しました。またモンゴル奥地から採掘される天然鉱物を100%原料にしたシリンゴル重曹は、環境に優しいお掃除素材としてブームとなりました。ほかにも天然原料からつくる蒙古王かんすい、クエン酸、麦飯石とつぎつぎと世に送りました。
いま力を入れている分野は馬乳酒に代表されるモンゴルの伝統食にも使われている乳酸菌です。私自身の実感からもモンゴルの大自然で育まれた乳酸菌はことに現代人の健康のために有用に働きます。大自然で育まれた乳酸菌と研究室で培養された乳酸菌は、古い知人である中国科学院の金鋒博士の言葉を借りると、野生のライオンと動物園で育ったライオンくらいの差があります。
いまも年に何度も縁ある人をモンゴルにお連れします。どんな大企業の経営者も、大草原に立つと、みんな少年に戻って目を輝かせます。私の人生を変えたモンゴルの大自然には感謝してもしきれません。これからも微力ながら、商品開発、植林、観光、あらゆる機会を通して日蒙の架け橋になる。それがわたしの夢です。