砂漠緑化事業
木曽路物産では「内モンゴルから得た利益は内モンゴルにも還元していく」という理念のもと、1998年頃から、複数の砂漠緑化ボランティア団体のサポートを行っています。
内モンゴルの砂漠化
内モンゴルでは、1960年頃から急速に砂漠化が進行しています。
砂漠には二種類あり、乾燥など厳しい気候条件下で自然に形成された昔ながらの砂漠、そして人間の活動で砂漠に似た状態になった砂漠です。
1960年頃から内モンゴルに広がっている砂漠は、実は後者の砂漠なのです。
古代から続く遊牧民族の生活は、モンゴルの大地と共栄共存の関係でした。家畜たちが草原の草を食べるかわりに糞を落として土地を肥やします。一定のところにとどまらず、定期的に巡回することで草原が回復するための十分な時間を与えるのです。
だから草原が砂漠化することはありませんでした。
その共栄共存サイクルが崩れた一番の原因は、1949年に成立した中国新政府の農民と遊牧民の定住政策です。
内モンゴルはそのほとんどが乾燥地帯で、ウランホトのある北東部の一部の地域を除いて、本来農業には向いていません。そんな土地に急激に人口集中が起こりました。
もともと少ない雨量に栄養の乏しい土地ですから、何度も農作物を育てることで、どんどん土地がやせていきます。牧畜も遊牧をやめて定住したことで常に家畜が草を食べ続け、大地が回復する時間が与えられず、最終的に「砂漠」になってしまったのです。
砂漠化らから緑地化へ
もともと大草原だった場所は、わずかですが降水量もあり地下水もあります。植物の生態系が崩れて砂漠になってしまったものの、逆に条件を整えて植林すれば緑を取り戻す可能性の高い場所なのです。
ですが、植林は一度苗を植えたら終わりではありません。成長を見ながら土地の状態と植物の相性を見極め、計画を手直しをしながら何年も、何十年にも渡って続けていかなければいけない気の長い事業です。
また、地元の人々の理解と協力が絶対に必要です。
一時的に緑が戻っても過開墾、過放牧をすればまたすぐに砂漠になってしまいます。だからといって昔のように全員遊牧民に戻るのも現実的ではありません。
土地に無理のない範囲で地元の人々に収益や環境メリットをもたらす植物を選び育てることで意識改革を図ること。緑を持続的に守ってもらうように、定期的に植林を続け交流を続けること等。
やるべきことは多く、理想と信念と地道な努力、そして「資金」がなければ継続し続けることは難しいのが実情です。
これらのことを実際に考え、そして今も夢の実現に向かって着実に前進し続けているのが、これから紹介するバンベンの坂本氏です。
彼は木曽路物産九州地区代理店であると同時に、木曽路物産が2004年からサポートしている緑化ボランティア組織なのです。
砂漠緑化を実現する会社「バンベン」
バンベン代表の坂本氏は1991年に青年海外協力隊員(日本語教師)として中国・内モンゴル・オルドスに派遣。砂漠化の進む草原を見て、「第二の故郷であるオルドスに緑を取り戻したい!」と2004年、たった一人で砂漠緑化を実現する会社バンベン(坂本の中国語読みです)を設立しました。
「植林によって生態系を回復させると同時に、地元の経済圏が潤う砂漠緑化事業モデルの確立」がバンベンの理念です。
理念を実現するには継続的に資金を得る事業が必要だと考え、坂本氏は「砂漠緑化の資金集めのために内モンゴルの塩で商売をしたい」と内モンゴルの塩工場を回ります。
しかし、工場相手に商売するのであれば100トンレベルの取り引きが必要。数トンレベルでは話にならないと断られてしまいます。がっくりとする坂本氏に現地の担当者が言いました。
「日本人であれば木曽路物産の鹿野社長に会いなさい。彼ならばあなたの話を聞いてくれるでしょう」
これが内モンゴルの塩の日本総代理店であった木曽路物産の鹿野と坂本氏の出会いでした。
坂本氏が語る考えは鹿野の理念=「自分たちが儲けるためだけの事業であってはならない。自分たちとともに現地の人々が、豊かに幸せになる事業でなければ長く続けていくことはできない」とピッタリ重なりました。
当時の鹿野は日本国内で内モンゴルの塩を販売してくれる代理店を探しており、実際に地域代理店になりたいという売り込みも多くありました。しかし、商売のみメリットでは代理店を選ばなかったのです。
「内モンゴルを愛して、内モンゴルの人々の幸せのために行動してくれるあなたに九州の代理店をお任せしたい」
この時以来、木曽路物産は内モンゴル特産品販売の側面から継続的にバンベンをサポートしております。
バンベン「オルドスの風プロジェクト」とは
バンベンの「オルドスの風プロジェクト」の抜粋です。もっと詳しく知りたい方はこちら
第1段階(2005年〜)
モンゴル岩塩など内モンゴルの天然素材を「砂漠緑化支援商品」として販売し、売上の10%を内モンゴル・オルドスの砂漠緑化事業に投入。
2005年4月、オルドス・スージー村で行われた「第1回ウランダワ砂漠日中共同植林」の一コマ。「日中友好記念林」石碑を囲んで記念撮影。
「第1回ウランダワ砂漠日中共同植林では現地政府要人、村民、日本人ボランティアなど約100名が参加。ポプラや紅柳など約1万本の草木を植えました。
2006年8月:ウランダワ砂漠での植林状況視察時の一コマ。上と同じ位置から撮影しましたが、植えた木が1年余りで驚くほど成長していました。
2008年10月、ウランダワ砂漠での植林の様子。2005年以来、毎年春と秋に現地の人々と日本人ボランティアが力を合わせて植林を実施しています。
2010年8月、ウランダワ砂漠視察時の一コマ。6年間で約600ヘクタールの緑化を完了。村のお年寄りに「私の若い頃の風景が戻ってきた」と言っていただいたことが一番うれしかったです。
第2段階(2010年〜)
2010年から第二の植林地「ウーシン旗スルデ村バンベン植林基地(150ha)」で 蒙古扁桃・ソウソウなど経済林の植林、有機肥料の生産、有機肥料を使った果樹・野菜(メロン・ブドウ・かぼちゃ・ジャガイモ等)の栽培を行っています。
蒙古扁桃は春、ピンク色のきれいな花を咲かせます。そしてその実は食用油や化粧品の原料、バイオ燃料など様々な用途で利用できます。
第3段階(2020年〜)
住民の生活向上と生態回復の好循環を実現する「オルドスモデル」を完成させ、中央アジア、アフリカなど砂漠化が進む他の地域に導入。世界の環境問題、食料問題、資源問題、貧困問題……、そこから生まれる戦争・紛争など地球上のあらゆる問題の解決を目指します。
木曽路物産はバンベンの「オルドスの風プロジェクト」を応援しています。